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■両毛地域情報紙「ミニム」へのコメント 1996年1月 ヤマザキミノリ

 幼児体験がその人に及ぼす影響は定かではないが、結構色濃くあるのではないかと、最近、自分の創作と幼い頃の環境について、思いを巡らせることが多くなりました。

 私は、作品にしぱしぱテキスタイルやライトを使い、それらにコンピューターコントロールを組み合わせ空間展示しますが、これなどは桐生で育った幼児体験と密接に結ぴついているように思えてなりません。

 昭和29年に桐生市本町二丁目で生まれ、織屋のガシヤコン、ガシヤコンというメカニカルな環境音や、そこから織り出されたデザインの中で、鬼ごっこをしてきた私がメカとデザインが嫌いになるはずはないのです。また、にぎやかな七夕祭りや恵比寿講で、ちょっと猥雑な禁断の見せ物小屋の不思議に好奇心をくすぐられたり、子供にとっては超でかいゴテゴテした飾りものの頭上高くぷら下がる、まさに非日常の空間体験に強烈に興奮し、カラクリとお祭り大好きになってしまったことも、想像に難くありません。そして、八木節のアップテンポであっさりしたところも給構好きだし、桐生祭りの七夕と八木節、仮装行列をドッキングさせ、何でもアリみたいなサービス精神旺盛のいわゆるノリの良さも、どっかに染み着いてしまっているようです。

 さて、最近の仕事ですが、1995年の4月から6カ月にわたる美ケ原高原美術館での個展「orijin/オリジン」は、私の創作活動15年を総括するような回顧的展示で、様々な課題の発見があって、これから先15年へのターニングポイントとなったのではないか、と自覚する仕事となりました。この展覧会は、恵比寿講の見せ物小屋の影響か、なんと胎内宇宙をテーマとし、高原美術館内の光の美術館を一棟使いきっての、およそ百坪の光のインスタレーション空間だったのです。

大小いくつかの個別のライトアートォブジェを集中させたエリアと、床や会場の天井高を生かして現場で制作した空間造形を中心としたゾーンの二つの展開を調光装置や音響を使い、写真のように一つの連続した印象にして、観客を包み込む空間装置として提示しているのです。非日常である胎内くぐりをして光に出会う祝祭空間なのです。

 期問中平均30万人の入場者のある美ケ原高原美術館で、少なく見積もってもおよそ10万人の参拝者、いや人場者がオリジンをお参り、いや見てくれた計算になり、またその中の何割かは比較的ゆっくりと鑑賞してくれていて、お春銭やお札代わりにオリジナルテレカを買っていただいて、売り切れてしまったりして、大変な手応えを感じてしまいました。 

 私にとって、楽しくワクワクする思い出の恵比須講や七夕祭りは、だんだん寂しくなってきたように感じられ少し残念ですが、足利市美術館や大川美術館、それにあと一年くらいで完成する白く浮かんだような外観の桐生市文化会館などには、本格的展示空間が備わり、それらの空間を生かした企画展示が少しでも多くの人々や子供たちに、ワクワク楽しい感動と美、なにより生きることと感じることの不思議と喜ぴを伝えられますよう、心から期待してやみません。

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○新井淳一によるコメント


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